東京のすみっこより愛をこめて。
その昔10回以上TOEICを受けて、最終スコアは800点のfummyです😊💡
800点を取得した時点で受けるのを止めてしまった理由と、TOEIC800点が世間で過大評価されている件については別の記事で語ったのですが、その記事を書いていたら、なんだか改めて疑問に思いました。
なんでこんなにTOEIC800点は過大評価なの?
もしかして、日本には800点以上の人って、あまりいないの?
もちろん、素晴らしい実力をお持ちのTOEIC800点の方もこの世には確実にいらっしゃるのですが、一般的には過大評価されがちです。
気になったので、TOEIC運営団体の公式サイトの統計データを眺めていたら、「TOEIC800点以上が世間で過大評価される理由が見えてきて、いろいろ納得してしまった」ので、この記事にまとめました。

タイトルは「上位◯%」だなんて、いやらしい書き方をしてしまってすみません(笑)。これには事情があります。TOEICスコア800点以上の人の割合を見てみると、場合によって大きく異なっていたので、一概に◯%と言えませんでした。印象もぜんぜん違います。
大きくは3つのケースに分けることができます。
順に見ていきたいと思います!
- TOEIC「公開テスト」の場合
- TOEIC「IPテスト(企業・団体)」の場合
- TOEIC「IPテスト(学校)」の場合
SPONSORED LINK
前提:TOEICテストには公開テストとIPテストがある
普段あまり意識することはないと思うのですが、まずTOEICテストには、個人で受験する「公開テスト」と、企業や学校などで団体受験ができる「IPテスト」があります。テストの形式や難易度は一緒です。(わたしは「公開テスト」も、大学の「IPテスト」も、企業の「IPテスト」も受けたことがありますが、実際に一緒でした。)

「I. TOEIC ®L&R受験者数推移(1979~2017年度)」『TOEIC Program DATA & ANALYSIS』p.5より。
2017年のデータを見ると、「公開テスト」と「IPテスト」の受験者は、おおざっぱに言うと半々くらいですね。公開テストが119万2000人で、IPテストが128万9000人なので、「IPテスト」の方が10万人ほど多いですが。日本では、2017年には約3400の企業・団体・学校などで「IPテスト」が採用されているそうです。団体受験って、こんなに実施されているんですね。
とはいえ、受験人数的には「公開テスト」と「IPテスト」は半々くらいですし、テストの難易度も同じなので、一見大した差が出ないように思いませんか。わたしも統計データを見るまでは、「公開テスト」と「IPテスト」の違いに注目したことはなかったのですが、見比べてみると、驚くことに、スコアの分布がだいぶ異なっていることに気づきます。
なので、それぞれの場合を見ていきたいと思います。
- ちなみに、TOEICテストにはスピーキングやライティングを含む試験も存在しますが、ここではリスニングとリーディングの能力のみを測る「TOEIC Listening&Reading」を対象とします。
- 上記のグラフは「受験者数の推移」とタイトルがつけられていますが、実際は「申込者数」です。当日欠席した人も含まれます。そのため、このあとご紹介する「受験者数」のデータと、数値が異なっている場合があります。
SPONSORED LINK
TOEIC「公開テスト」の800点以上の人の割合は「上位12.9%」
TOEIC運営団体の統計データだと、「800点以上」という区切りはなくて、一番近いのが「795点以上」になっています。まあ、TOEICは1問5点なので、800点と795点の違いは「1問分しかない=ほぼ一緒」と考えてよいと思います。
というわけでこの記事では、「795点以上=800点以上」とみなします。
TOEIC「公開テスト」の800点以上の人の割合

「II-3. 公開テスト Totalスコア分布」『TOEIC Program DATA & ANALYSIS』p.6より。
TOEIC「公開テスト」の800点以上取得者の割合は上位12.9%です。
8人に一人くらいです。
なんだか意外と多いですよね。8人に一人くらいだったら、あんまり希少性が無い気がします。その辺にいそうです。
TOEIC「公開テスト」の平均スコア

「II-1. 過去3年間の受験者数推移と平均スコア」「II-2. 社会人/学生別受験者数と平均スコア」
『TOEIC Program DATA & ANALYSIS』p.6より。
平均点を見ても、年々下がっている傾向が見られるものの、全体としては582点。社会人の平均は607点です。600点以上(これも例のごとく、データは「595点以上」を参照しています)は46.7%いるので、受験者の半数近くが600点以上です。
こう見ると、TOEIC800点はあまり珍しくなさそうだし、手が届きそうな気がします。
ところが、これが「IPテスト」だと様子が変わってくるんですよ。
- 800点以上取得者の割合:上位12.9%。受験者の8人に一人。
- 600点以上取得者の割合:46.7%。受験者の半数近く。
- 平均スコア:582点。社会人のみだと607点。
SPONSORED LINK
TOEIC「IPテスト(全体)」の800点以上の人の割合は「上位4.9%」
それでは今度は、TOEIC「IPテスト」の800点以上取得者の割合を見てみましょう。
TOEIC「IPテスト(全体)」の800点以上の人の割合

「III-3. IPテスト Totalスコア分布 全体(1,289,311人)」『TOEIC Program DATA & ANALYSIS』p.7より。
「IPテスト」の800点以上取得者は、上位4.9%です。
おや?ちょっと思い出してください。受験者数は「公開テスト」も「IPテスト」も大きく違いがないのに、「公開テスト」では12.9%だった800点以上の割合が「IPテスト」だと4.9%にまで落ち込みます。
20人に一人です。
「8人に一人」だと希少性はあまりないように感じましたが、「20人に一人」だとだいぶ印象が違いますよね。学校がひとクラス40人だとすると、クラスに2人しかいない計算になります。
TOEIC「IPテスト(全体)」の平均スコア

「III-1. 過去3年間の受験者数推移と平均スコア」『TOEIC Program DATA & ANALYSIS』p.7より。
こちらは「IPテスト」全体の平均点ですが、467点です。
「公開テスト」の平均点である582点を125点も下回っています。
そしてこの割合は、「企業・団体」と、「学校」でまた異なってくるのです。
- 800点以上取得者の割合:上位4.9%。受験者の20人に一人。
- 平均スコア:467点。「公開テスト」の平均582点を125点も下回る。
SPONSORED LINK
TOEIC「IPテスト(企業・団体)」の800点以上の人の割合は「7.2%」
TOEIC「IPテスト(企業・団体)」の800点以上取得者の割合は以下のようになっています。
TOEIC「IPテスト(企業・団体)」の800点以上の人の割合

「III-3. IPテスト Totalスコア分布 企業・団体(627,363人)」『TOEIC Program DATA & ANALYSIS』p.7より。
「IPテスト(企業・団体)」の800点以上取得者は、上位7.2%です。
13人に一人の割合です。
TOEIC「IPテスト(企業・団体)」の平均スコア

「III-1. 過去3年間の受験者数推移と平均スコア」「III-2. 企業・団体/学校別受験者数と平均スコア」
『TOEIC Program DATA & ANALYSIS』p.7より。
そして「企業・団体」の平均点は493点。
団体受験するためには何と言っても受験者を一定数集めないといけませんから、企業でTOEIC団体受験ができるとなると、それなりに社員数が多く、規模が大きい会社だと予測できます。
そうなってくると、もっと点数は高いと思っていました。意外。(勝手なイメージ)
600点以上の割合も29.5%ですね。
「企業・団体」の受験者の3割弱ということを考えると、「TOEIC600点以上なら、履歴書にTOEICのスコアを書いておくと有利」と言われるのは、納得ですね。
- 800点以上取得者の割合:上位7.2%。受験者の13人に一人。
- 600点以上取得者の割合:29.5%。受験者の3割弱。
- 平均スコア:493点。「公開テスト」の平均582点を89点も下回る。
SPONSORED LINK
TOEIC「IPテスト(学校)」の800点以上の人の割合は「2.7%」
TOEIC「IPテスト(学校)」の800点以上取得者の割合は以下のようになっています。
TOEIC「IPテスト(学校)」の800点以上の人の割合

「III-3. IPテスト Totalスコア分布 学校(661,948人)」『TOEIC Program DATA & ANALYSIS』p.7より。
「IPテスト(学校)」の800点以上取得者は、上位2.7%です。
37人に一人の割合です。
学校がこんなに低いのは意外だったし、すごくショックですね・・・。
TOEIC「IPテスト(学校)」の平均スコア

「III-1. 過去3年間の受験者数推移と平均スコア」「III-2. 企業・団体/学校別受験者数と平均スコア」
『TOEIC Program DATA & ANALYSIS』p.7より。
平均点が443点。600点以上でも16.3%しかいない・・・。
一応ここでは事実(データ)を見るに止めておいて、「なぜ?」という考察は最後にしてみますね。(わたしも大学でのIPテストを受けたことがあるので)
- 800点以上取得者の割合:上位2.7%。受験者の37人に一人。
- 600点以上取得者の割合:16.3%。受験者の1.5割くらい。
- 平均スコア:443点。「公開テスト」の平均582点を139点も下回る。
SPONSORED LINK
職種別にみると、800点以上の人の割合は「上位◯%」
「IPテスト」の「企業・団体」と「学校」の違いを見てきましたが、「企業・団体」の中でも、業種や職種でもぜんぜん違うんですよね。
わたしの属したことのある職種のみに限ってしまいますが、職種別に、TOEIC800点以上の人の割合を見てみたいと思います。
わたしは「SE」と「製造」に属したことがあります。
TOEIC「IPテスト(職種別・SE)」の平均スコア

「IV-2. 職種別受験者数と平均スコア」『TOEIC Program DATA & ANALYSIS』p.8より。
「SE」は平均486点。
ワースト5位か〜という悔しさもありますが、全体の平均の493点にも近いし、他にもこのくらいの点数の職種はあるので、そこまで目立ちません。
問題は「製造」です。
TOEIC「IPテスト(職種別・製造)」の平均スコア

「IV-2. 職種別受験者数と平均スコア」『TOEIC Program DATA & ANALYSIS』p.8より。
「製造」は平均391点。
おおお…… 圧倒的最下位じゃないか……!!!!
「製造」の中のスコアの内訳がわからないので、TOEIC800点以上が上位◯%なのかは算出できませんが、圧倒的に希少性が高そうなのはわかりました。ちょっとこれは、絶滅危惧種かもしれない(笑)。
- 「製造」の平均スコア:391点。「公開テスト」の平均582点を、実に191点も下回る。
- 「製造」の平均スコアは、職種別の平均で圧倒的最下位。
- 「製造」の800点以上取得者の割合は不明だが、おそらく希少性が高いと想定される。
SPONSORED LINK
実体験から語る「公開テスト」と「IPテスト」の結果の差異に関する考察
以上のように「公開テスト」と「IPテスト」、さらには「IPテスト」でも企業と学校では、TOEIC800点以上の分布がだいぶ異なることをみてきました。
【TOEICテストタイプ別の平均スコアと800点以上の人の割合】
テストタイプ | 平均スコア | 800点以上の割合 |
---|---|---|
公開テスト | 582点 | 12.9% |
IPテスト(全体) | 467点 | 4.9% |
IPテスト(企業・団体) | 493点 | 7.2% |
IPテスト(学校) | 443点 | 2.7% |
受験者の受験目的のデータなどをみていない(公式サイトでは公開されてなさそうだった)ので、ここからは予測でしかないですが、なんでこんなにスコア分布に差がでているのかを軽く考察してみたいと思います。実体験(体感)ベースなので、客観的根拠はありません。
「公開テスト」が高得点(平均:582点)の理由の考察
「公開テスト」を受ける層は、自分でわざわざ申し込んで、休日にわざわざ会場に行って受けるくらいなので、何かTOEICスコアが必要な特別な目的があるか、意識高いか、普段英語をやっていてちょっと腕試ししたいとか、そういう層な気がします。
実際、「TOEICスコア900点以上なら英語試験が免除になる」というような資格試験はあります。また、英語教育従事者などは、TOEIC990点という実力を公開しておくと安定した信頼が得られます。
他の資格試験の一発勝負のリスクを回避するため、もしくは自分の仕事の箔を付けるために、TOEICで高得点を取りに来ている層が一定数いて、平均点を押し上げてそうな気がします。
「IPテスト(企業・団体)」の低めの得点(平均:493点)の理由の考察
わたしも企業でIPテストを受けたことがあります。企業の場合は、わたしの例でいえば、一年に一回なら会社が受験料を負担してくれていたし、社内で平日に受験できるし、半分業務命令のような部分もあったので、特に勉強とかしないで気軽に受けている人が多かった印象があります。昇進に必要な面ももちろんありますけど、結局実績が買われてTOEICのスコアが足りてなくても昇進している人はいましたし。
もちろん業種によってぜんぜん違うと思いますし、会社によってもぜんぜん違いと思います。製造業だけかもしれませんけど・・・。
「IPテスト(学校)」の低めの得点(平均:443点)の理由の考察
大学や学部によるとは思いますが、わたしの場合はTOEICの学内試験がありました。また、文系だったからか、1年生と2年生のときは受験必須でした。
だからと言って、点数が悪かったら単位がもらえないとかそういうこともなかったので、特に対策はせずに受けていました。周りもそんなかんじだったんじゃないかな。
当時のわたしを含め、こういう特にプレッシャー無く気軽に受けている層が平均点を押し下げているのかもしれません。
でも、入試や大学の単位認定でTOEICのスコアが使える大学もあるので、頑張っている層もいそうな気はしますけれど。
やっぱり、受験者の目的のデータも見たいですよね。
SPONSORED LINK
おまけ:世界の中での日本人のTOEICスコアと順位
TOEIC公式ホームページの、日本の統計データのそばに世界の統計データもおいてあったので、ついでに「日本人のTOEICスコアが世界の中でどのくらいのレベルにあるのか」眺めてみました。
結構、ショッキングな画像です。

「表1:国別平均スコア」『2017 Report on Test Takers Worldwide: TOEIC Listening and Reading Test』p.5より。
日本は平均スコア517点。47カ国中、39位です。
しかもお隣の韓国は17位。優秀です。日本は韓国よりも平均が159点も下回っています。
なんで韓国に対抗意識を燃やしているのかというと、韓国語と日本語は文法が似ているので、「英語が比較的習得しにくい言語を普段使っている」という条件はほとんど同じなはずだからです。
実際は、各国のTOEICを受ける層が、どういう構成になっているのかわからないので、このデータだけだと何とも言えませんけどね。極端な話、日本以外の国では、TOEICテストとは「大学院以上の高等教育を受けていて英語圏に2年以上滞在したことのある海外志向のエリート層だけが受けるもの」なのかもしれない!(適当)
「英語教育の見直しを・・・」とは、安易に言いませんけど。とりあえず日本人が世界的にも英語が苦手そうに見えるデータがあるということだけ、ご紹介しておきます。
SPONSORED LINK
まとめ:特に日本の企業・団体・学校だとTOEIC800点以上は希少性が高い

これまでみてきた結果、TOEICスコア800点以上の人の割合は、企業・団体・学校だと上位5%(20人に一人)、とりわけ製造業だともっと減って、もはや絶滅危惧種レベルになりそう・・・ということで、状況を理解しました。
おまけで世界の国別のTOEIC平均スコアもチラッと見ましたが、日本は世界においてもTOEICスコアが低い方なので、日本の中では特にTOEIC800点以上というのは希少性が高いと言えると思います。TOEIC800点以上の人があまりいないからこそ、彼らの英語運用力がピンキリだということも、なかなか理解されにくいように思います。
それで、TOEIC運営サイトの指標(TOEICスコアとコミュニケーション能力レベルとの相関表)をみて、「730点以上なら海外でどこに行っても大丈夫そうだな」と思ってしまうんですね。
いままでわたしも、「TOEIC800点すごいね!英語ペラペラなんだね!」って屈託なく言われて、褒められながら傷ついてたので、被害者意識しかなかったけど、なんとなく状況が理解できました。納得、かも。
・・・納得はしましたけど、TOEIC800点の世間のイメージに違わずペラペラになりたいし、自由自在に英語を使えるようになりたいので、継続して英語多読とオンライン英会話を続けていきたいと思っております。
長くお付き合いいただきありがとうございました!
それでは、今日も素敵な一日を!
fummy