ジェーン・オースティン『ノーサンガー・アビー』感想。主要人物の本音と建前を徹底解説します!(マクミランリーダーズ Level 2: Beginner)

東京のすみっこより愛をこめて。fummyです😊💡
英語多読100万語を目標に、洋書を読み進めています。

今回取り上げるのは、Macmillan Readers(マクミランリーダーズ) レベル2(Beginner)の、ジェーン・オースティン作『ノーサンガー・アビー(Northanger Abbey)』です!

19世紀初頭のイギリスの田舎における、名家の結婚をめぐるイザコザが描かれているのですが、ここまでマクミランリーダーズ(レベル2)を読んできて、特にこの作品は登場人物の心理がわかりづらいと感じました。

さすがに今まで25万語ほど多読をしてきたので、「英語表現がわからない」ということは、基本的にほとんどありません。それにも関わらず内容が理解できなくて気持ち悪い部分があったので、「ノーサンガー・アビーのWikipedia」や、原作(邦訳版)を少しだけ(本当にさらっとですが)パラパラ見てみました。そうしたら・・・

マクミランリーダーズ版は、登場人物の価値観や心理描写がめちゃくちゃ省かれてる…!!∑( ̄□ ̄ノ)ノ

まあ、英語学習者用の本であるGR(Graded Readers)なので、ある程度は内容が端折られることは仕方がないです。ですが、それでもマクミランリーダーズの他の作品は、もっと人間ドラマが丁寧に表現されていたし、『ノーサンガー・アビー(Northanger Abbey)』に関しては、チラッと読んだだけでも原作がとてもおもしろかっただけに、マクミランリーダーズ版の端折り方がちょっと残念です。

・・・と不満を漏らしながらも、いろいろ調べているうちに、気づいたら『ノーサンガー・アビー(Northanger Abbey)』を読んだ時に感じた疑問は、ひととおり解決できていました!(笑)

そんなわけで本記事では、わたしが『ノーサンガー・アビー』を初めて読んだ時の疑問とそれに対する解説、シーンの引用と翻訳をつけながらまとめました。本書を読んでいて、わたしと同じような疑問を抱く方は、たぶんそこそこいらっしゃると思うので(笑)、ぜひ参考にしていただければと思います!

ストーリーのネタバレをしていますので、未読の方はご注意ください!

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目次

ジェーン・オースティン(Jane Austen)とは

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ジェーン・オースティンの肖像画(画像はWikipediaより)

ノーサンガー・アビー(Northanger Abbey)』の作者のジェーン・オースティン(1775-1817)は、イギリス南部のハンプシャー、スティーブントン出身の小説家です。

代表作は、『分別と多感(Sense and Sensibility)』、『高慢と偏見(Pride and Prejudice)』など。いずれも18世紀から19世紀イギリスの田舎の中流社会を舞台として、当時の名家の娘と紳士たちの私生活、恋愛模様、結婚事情などが描かれています。

オースティンは牧師の家に生まれ、姉のカサンドラとともに、当時の女性としてはとても高い教育を受けています。英文学や英語学、フランス語、イタリア語を学び、詩や小説に慣れ親しみました。

また、1801年から、著名な保養地であったバース(Bath)に移り住み、妹とともに舞踏会や観劇を楽しみました。『ノーサンガー・アビー』は、まさにこのバースが舞台。オースティンの作品は、彼女の生きた軌跡そのものであると言えるでしょう。

彼女の作品は同年代はもちろん、時代を超えて後世の作家からも高く評価されていて、近代イギリス長編小説の頂点とみなされています。ちなみに今はイギリスの10ポンド札にオースティンの肖像が印刷されているみたいですね。(欲しい・・・)

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『ノーサンガー・アビー(Northanger Abbey)』について

今回取り上げる『ノーサンガー・アビー』は、以下の本です。

原書ではなく、マクミランリーダーズという、英語学習者用に簡単な英語で書かれた洋書のシリーズの一つであることをご了承ください。

冒頭で、この作品が「GR版であるがゆえに内容が理解しづらい箇所がある」ということを述べましたが、より正確にいうと、以下のような理由で、人々の「本音」が読み取りづらいからだと思います。

マクミランリーダーズ版『ノーサンガー・アビー』がわかりづらい理由
  • 田舎の名家を中心とする価値観や、個々の登場人物が語る「本音」と「建前」のうち、特に「本音」部分の描写が端折られている。そのため、とりわけ物語の最後のあたりで何人かの人物の思惑が理解しづらく、展開も駆け足でわかりづらくなってしまった。
  • 主人公(ヒロイン)がとても純粋な子であり、彼女視点で物語が描かれるので、つい登場人物たちの表面的な発言を真に受けてしまう。そのため、人々の「本音」がより読み取りづらくなっている。(←これはわたしが単純なだけという説も。笑)

そんなわけで、本記事では、あらすじシーンの引用・翻訳を書きながら、人々の「本音」を中心に、わかりにくかった部分を補完していきますね。

ちなみに、『Northanger Abbey』は、マクミランリーダーズのレベル2(Beginner)の本で、「MMR2+」に当たります。「MMR2+」の詳しい難易度が気になる方は、以下の記事で解説していますので、参考にしてみてください!

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『ノーサンガー・アビー(Northanger Abbey)』のあらすじ

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舞台は1802年のイギリスの南西部の保養地バース(Bath)です。

キャサリン・モーランド(Catherine Morland)は17歳の女の子。隣人のアレン夫妻(Mr and Mrs Allen)と、保養地であるバースを訪れ、数週間滞在することになりました。キャサリンはそこでイザベラ・ソープ(Isabella Thorpe)と友達になり、彼女とショッピングや観劇、そして舞踏会を楽しみます。

バースでキャサリンと知り合ったイザベラでしたが、偶然にもイザベラの兄のジョン・ソープ(John Thorpe)は、キャサリンの兄のジェームズ・モーランド(James Morland)と同じオックスフォード大学に通う友人同士でした。さらには兄たちもバースに遊びに来ていたことがわかり、キャサリン、ジェームズ、イザベラ、ジョンは、4人で行動を共にするようになります。

そのうちに、イザベラとジェームズ(キャサリンの兄)はお互いに愛し合うようになり、ついには婚約します。ジョン(イザベラの兄)もキャサリンに惹かれ、しつこくキャサリンに迫りますが、キャサリンはジョンのことは好きになれません。

キャサリンは、バース滞在中に出会った25歳ほどの牧師の男性ヘンリー・ティルニー(Henry Tilney)に恋をしていました。そして、ヘンリーの妹のエレノア・ティルニー(Eleanor Tilney)と友達になると、キャサリンは次第にヘンリーやエレノアと行動を共にするようになります。

そんなある日、キャサリンは、ヘンリー、エレノア、そして二人の父親のティルニー将軍(General Tilney)から、ヘンリーの実家であるノーサンガー・アビーに招待されました。ティルニー一家の歓待を受け、楽しく過ごすキャサリンでしたが、ある時突然ティルニー将軍の怒りを買い、ノーサンガー・アビーを追い出されて、強制的に自身の実家であるフラートン(Fullerton)に送還されてしまいます。

ティルニー将軍の怒りの理由に、何も心当たりがないキャサリン。泣いて暮らしていたところに、なんとヘンリーがキャサリンを訪ねてきます。ヘンリーは事の真相を話すとともに、キャサリンに結婚を申し込むのでした。

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前提:ティルニー家に「善い人」バイアスがかかってしまう罠

わたしは、『ノーサンガー・アビー』で人々の「本音」がわかりにくいと感じた原因の前提として、「ティルニー家に『善い人』バイアスがかかってしまう罠」があると考えています。

『ノーサンガー・アビー』には、キャサリンの友達のイザベラとジェームズの婚約関係を脅かす存在として、ヘンリーの兄のフレデリック・ティルニー大尉(Captain Frederick Tilney)が登場します。フレデリックはイギリス軍の将校で、背が高く非常にハンサムなのですが、イザベラがジェームズと婚約中と知っているにも関わらず声をかけたり、ダンスをしたり、デートをしたりします。

そんなフレデリックの行動を、純粋なキャサリンは理解できずに困惑します。そして、キャサリンに感情移入している読者(わたし)も困惑します(笑)。

冷静に振り返ってみると、ただ単に「フレデリックはチャラい人」だというだけなのですが、なぜキャサリンも読者(わたし)も困惑してしまうのでしょうか。この困惑の原因が、おそらくティルニー家に「善い人」バイアスがかかってしまっているからだと思うのです。

ティルニー家の「善い人」バイアスの要因(1):キャサリン視点

『ノーサンガー・アビー』では、キャサリンから見ると、ヘンリー、エレノア、そして二人の父のティルニー将軍は、いつもキャサリンを温かく歓迎してくれて、とても感じがよく、人格者のように描かれています。

バースではキャサリンが彼らの家に突然押しかけても喜んで迎え入れてくれるし、バース周辺の散策やディナーにも誘ってくれるし、キャサリンと過ごすことを心から喜んでくれている様子です。ついには、ティルニー家の実家である、ノーサンガー・アビーにも誘ってくれます。

‘Catherine,’ Eleanor said. ‘My father — all of us — want you to come to Northanger Abbey. Will you come?
Northanger Abbey! With Henry and Eleanor!
‘Thank you!’ Catherine said happily. ‘You are very kind. I will write to my parents immediately.’

*日本語訳(拙訳)*
「キャサリン」と、エレノアは言った。「お父様 — いいえ、私たちみんな — あなたがノーサンガー・アビーに来てくれたらいいなって思っているのよ。遊びに来ない?
ノーサンガー・アビー! ヘンリーとエレノアと一緒に!
「ありがとう!」と、キャサリンは喜んで言った。「あなた方は、本当に善い方たちね。お父様とお母様に、すぐに手紙で知らせるわ」

Jane Austen, Northanger Abbey, Macmillan Education, 2005, p.37.

こうやって、いつも両手を広げて温かく迎え入れてくれると、なんとなく彼らの属するティルニー家全体が徳の高い家庭のような錯覚を起こしてしまうんですよね(笑)。なので、フレデリックにも、どことなく「善い人」バイアスが、かかってしまっていたように思います。

でも、ティルニー家であろうがなかろうが、結局はみんな自分の利益や思惑のために行動しています。特にフレデリックはイザベラのことを、本当に「遊び相手」くらいにしか思っていないことを、最終的にイザベラもキャサリンも理解することになります。

ティルニー家の「善い人」バイアスの要因(2):ソープ家との対比

この物語では、キャサリンが2つの家庭の兄妹と仲良くなります。ジョンとイザベラのいるソープ家と、ヘンリーとエレノアのいるティルニー家です。

ソープ家の方々の印象が悪いため、相対的にティルニー家が善良に見えるという現象が起こっています(笑)。各家の人たちの特徴をまとめるとこんな感じです。

ソープ家(the Thorpes)の兄妹
  • ジョン(兄) :小太りで容姿は平凡。キャサリンの兄の友人でオックスフォード大学在籍。キャサリンを自分のものにするため、彼女に嘘をついたり強引に誘ったりする。
  • イザベラ(妹):21歳の美しい女性。長身でお金持ちでハンサムな男性と結婚することが夢。キャサリンの兄のジェームズと婚約しながらもフレデリック大尉と浮気する
ティルニー家(the Tilneys)の兄妹
  • ヘンリー(兄):25歳程度の長身でハンサム、知的で話好きな青年。ウッドストンで牧師をしている。キャサリンと恋に落ちる。
  • エレノア(妹):22歳の美しい女性。物静かで控えめ。ノーサンガー・アビーで一人で過ごすことが多いため、同じくらいの年齢のキャサリンと仲良くなれて嬉しい。

このように対比してしまうと、ソープ家の方が我が強くて自分の欲望に忠実に生きているような印象を受け、ティルニー家の方が控えめで誠実で心が美しい印象を受けます。

「ソープ家が自分本位に見えるから、ティルニー家が徳の高い一家のように見える」

という原理です。実際は、ティルニー家の何人かにも思惑があることは、後々わかってくるんですけどね・・・。

ちなみに、イザベラの「長身でお金持ちでハンサムな男性と結婚することが夢」というのは、一見わがままなようにも見えますが、キャサリンもエレノアも心の中ではそう思っているので、別に悪いことではありません(笑)。この時代では普通のことです。

前提:ティルニー家の「善い人」バイアスの罠のまとめ
  • 『ノーサンガー・アビー』の人々の「本音」が見えづらい原因の前提として、ティルニー家に「善い人」バイアスがかかっていることが挙げられる。
  • キャサリンと親交の深い、ヘンリー、エレノア、ティルニー将軍は、常にキャサリンに対して親切で、いつも歓迎してくれる。そのため、キャサリン視点で語られる本作では、ティルニー家に「善い人」バイアスがかかりやすい。
  • キャサリンと仲の良いソープ家の印象が良くないため、相対的にティルニー家がより善良に見える現象が起こる。
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『ノーサンガー・アビー』でわかりづらかった3つのポイント

無意識のうちに、この物語にティルニー家の「善い人」バイアスが横たわっていることを頭の片隅に置いておきながら、『ノーサンガー・アビー』において「理解しづらいポイント」について解説していきます。

わたしが『ノーサンガー・アビー』を読んでいて、初回の読書で理解できなかったのは以下の3点です。

『ノーサンガー・アビー』でわかりづらかった3つのポイント
  1. 婚約者がいるのを知っていてイザベラを誘うフレデリックの真意
  2. 婚約しながらもフレデリックの誘いに乗るイザベラの真意
  3. 最初は優しかったのに、終盤でいきなり手のひらを返したティルニー将軍の真意

この3点については、わたしが初めて本書を読んだときには、本気で頭の周りにクエスチョンマークが飛んでいましたが(笑)、やっとそれが解消されましたので、一つずつ見ていきたいと思います!

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ポイント①:フレデリックの真意「完全に遊び」

ヘンリー、そしてエレノアの兄であるフレデリック・ティルニー大尉に関していえば、ティルニー家の「善い人」バイアスさえはずしてしまえば、何も悩むことはありません。最初から最後まで、イザベラのことは、「遊び相手」としか思っていません。

イザベラがフレデリックの誘いに応じた最初のきっかけは、ジェームズがバースを離れていてダンスのパートナーがいなかったためでしたが、ジェームズがバースに戻った後も、イザベラはいつもフレデリックと一緒にいます。見るに見兼ねたキャサリンが、フレデリックを止めるよう、ヘンリーにお願いをしますが、ヘンリーはしれっとこう返します。

‘Please tell your brother about Isabella and James,’ she said. ‘They are going to get married.’
Frederick knows about that,‘ Henry replied. ‘I told him myself.’
‘He must leave Bath,’ Catherine said. ‘He must not speak to Isabella. He is making James, my brother, very unhappy.’
…(An omission)…
My brother will soon leave Bath,‘ said Henry. ‘He will soon forget Isabella. James will be happy again.’

*日本語訳(拙訳)*
「あなたのお兄様に、イザベラとジェームズのことを話してくださらないかしら」と、キャサリンは言った。「あの子たちは結婚する予定なのよ」
それなら、フレデリックは知っているよ」と、ヘンリーは答えた。「僕が伝えたからね」
「彼は、バースから出ていかないといけないわ」と、キャサリンは言った。「イザベラに話しかけてはダメなのよ。彼はジェームズを、私のお兄様を悲しませているわ」
…(略)…
兄さんはもうじきバースを出ていくよ」と、ヘンリーは言った。「そしてすぐにイザベラのことは忘れてしまうさ。ジェームズは、また元気になるよ」

Jane Austen, Northanger Abbey, Macmillan Education, 2005, p.40.

ヘンリーは「いつものこと」とばかりに、キャサリンにこう言います。フレデリックはこういうチャラい男性のようですね・・・。「ヘンリーやエレノアのお兄さんだし、婚約者がいると知っててもイザベラにアプローチするほど、イザベラに対して本気なんじゃ」と、一瞬でも考えたわたしが愚かでした(笑)。実際、後にヘンリーが言ったとおりになり、イザベラはキャサリンに泣きつくことになります。

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ポイント②:イザベラの真意「遊びだけれど、あわよくばとも思っている」

イザベラ自身も、フレデリックとの関係は「遊び」と認識していますが、「あわよくば乗り換えよう」と考えています。

正確にいうと、フレデリックではなくても「背が高くてハンサムで知的でよりお金持ちの男性がいたら乗り換えよう」というのが彼女の真意のようです。

イザベラの真意がわかりづらい要因には、以下の3つが挙げられると感じました。

要因(1)ジェームズとの婚約当初は心から喜んでいる様子だった

フレデリックと浮気をするイザベラの真意がわかりづらかったのは、イザベラがジェームズと婚約したばかりの頃は、イザベラが心から幸せそうだからなんですよね。この物語はキャサリン視点で、読者(わたし)もキャサリンに感情移入しているので、兄と友達が幸せになるなんて、わたしも自分のことのように嬉しいわけです(笑)。

‘Your dear, dear brother!’ Isabella said. ‘Oh, I am very excited! What will your parents say? Will they like me?’
‘My dear Isabella!’ Catherine said. ‘What are you saying? Are you in love with James?
I am! I am!‘ said Isabella. ‘And James is in love with me. He told me yesterday. I am very, very happy! I have always loved him! He is handsome and clever! Why did he choose me? I cannot understand it!

*日本語訳(拙訳)*
「あなたの素敵な、素敵なお兄様!」と、イザベラは言った。「ああもう、大興奮だわ!あなたのご両親はなんておっしゃるかしら?私のことを気に入ってくださるかしら?」
「イザベラったら!」と、キャサリンは言った。「何を言っているの?ジェームズに恋してしまったの?
そう!そうなのよ!」と、イザベラは言った。「そしてジェームズも私に恋してるのよ。昨日彼が告白してくれたの。私すごく、すごく幸せよ!だって私、ずっと彼のこと大好きだったんですもの!彼はハンサムだし頭がいいわ!どうして私のこと選んでくださったのかしら?見当もつかないわ!

Jane Austen, Northanger Abbey, Macmillan Education, 2005, p.31.

さらにその後、婚約者であるジェームズがバースをいったん離れてしまいます。そんな中で、いつものメンバーで舞踏会に行くのですが、イザベラは「私は踊らないわ!」と、いじらしい面を見せます。

‘I will not dance!’ Isabella said. ‘James is not here. I will not dance with anybody else. I shall sit and think about my dear James.

*日本語訳(拙訳)*
「私は踊らないわ!」と、イザベラは言った。「ジェームズがここにいないんですもの。私は他の方とは踊らないわ。私は座って、大好きなジェームズのことを考えるの

Jane Austen, Northanger Abbey, Macmillan Education, 2005, p.35.

こんな健気で一途なイザベラに癒され、「イザベラったらかわいいな〜」とニコニコしながらページをめくると、次のページであっさりフレデリックと踊ってしまうので、キャサリン(と読者)は度肝を抜かれます(笑)。

それにも一応、彼女なりの理由があるのですが、ちょっと描写が足りないんですよね。というのが、次のお話です。

要因(2)「ジェームズがお金持ちでないこと」に不満を抱く描写が無い

マクミランリーダーズ版には描写は一切無いのですが、

どうやらイザベラは、

ジェームズが思ったよりもお金持ちではないことが不満

のようなのです。

これについては、「ノーサンガー・アビーのWikipedia」には解説がありますし、原作では丁寧に描写があるようです。しかし、マクミランリーダーズ版では、イザベラがジェームズに対して金銭面で不満を漏らすシーンはありません。

キャサリンの家(モーランド家)は、決して貧しくはありませんが、裕福ではない牧師の家庭です。背が高くてハンサムで頭もいい(オックスフォード大学在籍)、完璧なように見えたジェームズも、イザベラにとってはもう一つ物足りなかったのです。

代わりにマクミランリーダーズ版では、「ジェームズと結婚するまでに2年待たなければならないこと」を、イザベラが嘆くシーンがあります。

‘Another letter from James arrived today,’ Isabella said. ‘We will get married, but we must wait for two years. After two years, James will leave Oxford. He will have a little money then.‘ Isabella spoke sadly.

*日本語訳(拙訳)*
「ジェームズから今日新しく手紙が届いたの」と、イザベラが言った。「私たちは結婚するのに、2年待たなければならないそうなのよ。2年経ったら、ジェームズがオックスフォード大学を卒業して、少し収入を得られるようになるわ」と、イザベラは悲しそうに言った。

Jane Austen, Northanger Abbey, Macmillan Education, 2005, p.35.

そしてしばらくした後、キャサリンは、「イザベラとの婚約を破棄した」旨ジェームズから手紙で知らせを受けることになります。原因はイザベラとフレデリックの浮気ですが、「イザベラが2年も待てないと言っている」ことは、一応手紙でも触れられています。

I left Isabella in Bath yesterday. I will never see her again. She will not wait for me. She will not wait for two years. She is going to marry Captain Tilney.

*日本語訳(拙訳)*
昨日、イザベラをバースに残してきたよ。もう二度と彼女に会うつもりはない。イザベラは僕を待ってはくれない。二年も待ってはくれない。彼女は、ティルニー大尉と結婚するつもりだ。

Jane Austen, Northanger Abbey, Macmillan Education, 2005, p.50.

イザベラがジェームズに満足できない理由は、本当は「収入が少ないこと」であって、「二年待たなければならないこと」は建前なんですよね。そもそも、お金持ちだったらすぐに結婚してしまいますしね。なので、彼女が金銭面に不満があることを丁寧に描写して、物語の中で強調してくれた方が、彼女の行動の理由(本音)を理解しやすかったのに・・・と思います。

要因(3)ジェームズとの復縁を希望する手紙が本気のようにみえる

ジェームズと破局したイザベラなのですが、その後フレデリックにあっさり振られたため、都合よくジェームズと寄りを戻そうとします。イザベラはキャサリンに手紙を書き、ジェームズに自分のところに戻るように言って欲しい、とお願いをします。

My family will leave Bath tomorrow. I hate this place. All my friend have left. James is in Oxford, but he has not written to me. Why not? I will never love anybody else.
Catherine, please write to James. Did I make him unhappy? I do not know. Will he write to me? Then everything will be well again.
Another man has left Bath too — Captain Tilney. I hate him. I often saw him, but I never liked him. I only like your dear brother.
…(An omission)…
Please, please write to your brother. And write to me too.

*日本語訳(拙訳)*
明日、私たちは一家そろって、バースを出発する予定なの。バースなんて大嫌い。私のお友達はみんな、とっくに帰ってしまったわ。ジェームズはオックスフォードにいるけれど、一度も私に手紙をくださらなかったの。どうして? 私は彼以外に愛せる人なんていないのに。
キャサリン、ジェームズに手紙を書いてくださらないかしら。私はジェームズを悲しませてしまったの? わからないのよ。彼は私に手紙をくださるかしら? そうすればまた、何もかもがうまくいくわ。
あの方 — ティルニー大尉 — も、バースから出て行ったわ。あんな男、大嫌い。彼とはよく会っていたけれど、彼のことを好きだと思ったことは一度もないわ。私が好きなのは、あなたの大切なお兄様だけ。
…(略)…
どうか、お願いよ、お兄様に手紙を書いてちょうだい。そして私にも手紙をください。

Jane Austen, Northanger Abbey, Macmillan Education, 2005, p.54.

いま改めて読むと「ずいぶん身勝手な手紙だな」と思うのですが、初めて読んだときは「イザベラがジェームズとの婚約に喜ぶ姿」が記憶に新しかったのもあって、「フレデリックに捨てられたことで、イザベラはやっとジェームズへの愛に気づいたのかな?よかった!」とか、わたしも考えちゃったんですよね。頭がお花畑ですね(笑)。

イザベラの真意はそうではありません。イザベラは結局お金持ちの男性がいいので、ジェームズとまた婚約したとしても、2年も待てないし、他の男性と遊んだり、あわよくば結婚してしまうことも予想されます。ヘンリーはイザベラの真意を見抜いていて、キャサリンにイザベラとはもう関わらないよう助言します。

Catherine showed the letter to Elenor and Henry.
‘I understand,’ Catherine said. ‘Captain Tilney did not love Isabella. She will be sad.’
‘No, Miss Morland,’ Henry said. ‘Isabella will not be sad. She did not love my brother, Frederick. They were both wrong. Write to your brother, James. Forget Isabella Thorpe.

*日本語訳(拙訳)*
キャサリンは手紙をエレノアとヘンリーに見せた。
「わかったわ」と、キャサリンは言った。「ティルニー大尉は、イザベラのことを愛してはいなかったのね。イザベラが悲しむわ」
「そうじゃないよ、モーランドお嬢さん」と、ヘンリーは言った。「イザベラは悲しまないさ。彼女は僕の兄さんを、フレデリックを愛してなんかいなかったんだから。二人ともたちが悪いんだよ。お兄さんには、ジェームズには手紙を書きなさい。イザベラ・ソープのことは忘れてしまいなさい。

Jane Austen, Northanger Abbey, Macmillan Education, 2005, p.55.

ヘンリーは最初からイザベラという女性のことをよく理解していて、フレデリックとイザベラが初めて出会ったときも、「ソープお嬢さんはフレデリックと踊るね(Miss Thorpe will dance with Frederick.)(p.36)」と予言しています。キャサリンが「イザベラはジェームズ以外の男性とは踊らないって言ってたわ!」と否定しても、「で、君はそれを信じたわけだ!(And you believed her!)(p.36)」と、おちょくります。オトナですね(笑)。

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ポイント③:ティルニー将軍の真意「お金持ちの娘だから優しくしていた」

『ノーサンガー・アビー』で、一番わかりにくかったのはこれです。

ティルニー将軍は、ヘンリーがキャサリンを気に入ったのを知って、キャサリンに興味を持ちます。そして、キャサリンをノーサンガー・アビーの自宅に招待し、常に優しく歓待します。それがある日、急にキャサリンに対して怒り出し、彼女を実家に強制的に送り返してしまうのです。

このティルニー将軍の態度の急変の理由については、物語のラストで畳み掛けるように説明されていたため、初めて読んだ時にはよく理解ができませんでした。その後調べてやっと理解できたので、順に見ていきながら解説していきたいと思います。

ティルニー将軍の態度(1):歓迎〜怒りへと急変するまで

ティルニー将軍は、ノーサンガー・アビーにキャサリンを招待し、お屋敷の中を案内したり、一緒に庭を散歩したり、食事をしたりと、キャリンとの時間を楽しみます。そして、ついにはヘンリーが普段住んでいるウッドストン(Woodston)の小さな村にもキャサリンを連れて行きます。

ヘンリーの家は小さくて可愛らしく、花々のあふれる綺麗なお庭もあって、キャサリンはすっかり気に入ってしまいます。そんなキャサリンに、ティルニー将軍は声をかけます。

‘Have you enjoyed your visit, Miss Morland?’ the General asked. ‘Do you like my son’s house?’
‘Oh, yes,’ Catherine replied. ‘I like it very much.’
‘Will you come again?’ the General asked. ‘You will always be welcome here — and at Northanger Abbey.
Catherine did not speak. But she understood.
‘General Tilney likes me,’ she said to herself. ‘But does Henry love me? Does he want to marry me?’

*日本語訳(拙訳)*
「ここに来て楽しかったかね、モーランドお嬢さん?」と、将軍は尋ねた。「息子の家は気に入ったかね?」
「ええ、もちろん」と、キャサリンは答えた。「とても気に入りましたわ」
「また来るかね?」と、将軍は尋ねた。「君ならいつでも歓迎するよ。ここも — ノーサンガー・アビーも
キャサリンは何も言わなかった。しかし、彼女にはわかっていた。
「ティルニー将軍は、私のことを気に入ってくださったのね」と、彼女は心の中で思った。「でも、ヘンリーは私のことを愛してくれているのかしら?結婚したいと思ってくださっているのかしら?」

Jane Austen, Northanger Abbey, Macmillan Education, 2005, p.53.

キャサリンにこんな温かい言葉をかけてくれて、心からキャサリンを歓迎してくれていたティルニー将軍でしたが、数日後に態度が一変します。

数日後、エレノアが血相を変えて、キャサリンのところにやってきます。そして「キャサリンは翌日にはノーサンガー・アビーを出ていかなければならなくなったっこと」、理由はわからないけれど「ティルニー将軍が激怒していること」を伝えます。キャサリンは翌日、早朝に馬車に乗せられ、わけもわからないまま、実家のあるフラートンに送還されてしまいます。

ティルニー将軍の態度の急変には、理由がありました。

ティルニー将軍の態度(2):お金持ちの娘だから優しくしていた

わけもわからないまま強制送還され、悲しみに明け暮れて毎日泣いていたキャサリンのところに、なんとヘンリーが訪ねてきます。

‘I went back to the Abbey last Monday,’ Henry said. ‘You were not there. I spoke to my father. “You must never see Catherine again,” my father said.’
‘But I have done nothing wrong,’ Catherine said.
‘No, you have done nothing wrong,‘ said Henry. ‘I will tell you everything.‘ He smiled at Catherine.

*日本語訳(拙訳)*
「先週の月曜日にアビーに戻ったんだ」と、ヘンリーは言った。「そうしたら君はいなくなっていて、父さんに話しかけたら、『もうキャサリンには二度と会うな』だなんて言うじゃないか」
「でも、私は何も悪いことをしていないわ」と、キャサリンは言った。
「うん、君は何も悪いことをしていないよ」と、ヘンリーは言った。「ぜんぶ話すよ」と、彼はキャサリンに微笑んだ。

Jane Austen, Northanger Abbey, Macmillan Education, 2005, p.61.

そしてヘンリーは、ティルニー将軍の理不尽な態度の真相を、キャサリンに説明します。

My father likes rich people,‘ he said. ‘My father spoke to John Thorpe in Bath.’
‘John Thorpe?’ Catherine said. ‘What did he tell your father about me?’
John Thorpe said, “Miss Morland’s father is very rich. And the Allens have money too. They will give it to Miss Morland.” Those were his words,’ said Henry.
But my father in not very rich,‘ said Catherine. ‘And the Allens are not going to give me any money.
‘I know that,’ said Henry. ‘John Thorpe lied to my father. But my father heard the truth in London. John Thorpe told him the truth. My father was very angry and he sent you away from Northanger Abbey.’

*日本語訳(拙訳)*
父さんは裕福な人が好きでね」と、彼は言った。「父さんはバースでジョン・ソープに話しかけたんだよ」
「ジョン・ソープですって?」と、キャサリンは言った。「彼はあなたのお父様に、私のことを何て伝えたのかしら?」
ジョン・ソープはこう言ったんだ。『モーランド嬢は、父親が相当な資産家で、アレン家もお金持ちだということですよ。モーランド嬢は、いずれそれを相続することになるんです』と。これが彼の言い分だよ」と、ヘンリーは言った。
でも、私のお父様はそんなにお金持ちではないし」と、キャサリンは言った。「アレン家も私に財産を譲ったりなんてしないわ
「わかっているよ」と、ヘンリーは言った。「ジョン・ソープは、父さんに嘘をついたのさ。でも父さんは、ロンドンで真実を知った。ジョン・ソープが本当のことを話したんだよ。父さんは激怒して、君をノーサンガー・アビーから追い出したってわけさ」

Jane Austen, Northanger Abbey, Macmillan Education, 2005, pp.61-62.

うーん、わかりにくいですよね。
本書では、事の真相の説明はこれだけなんですが、ティルニー将軍の価値観も、時系列もちょっとわかりにくいと思います。

まず、ティルニー将軍は「裕福な人が好き」です。

そしてティルニー将軍は、ヘンリーがキャサリンに興味を持っていることを知り、バースでジョン・ソープに話しかけ、キャサリンがどのような娘なのかを聞き出そうとしました。その時にジョン・ソープは嘘をつき、キャサリンの家(モーランド家)がとても裕福な家庭で、キャサリンが将来的に莫大な財産を相続する予定だとティルニー将軍に告げます。当時はジョン・ソープがまだキャサリンに恋をしていて、彼女にアプローチをしている頃です。

ティルニー将軍はそれを知って喜び、キャサリンに優しく接し、歓迎します。キャサリンがお金持ちの家の娘だから、息子と結婚させようと、優しくしているのです。

ところが、キャサリンがノーサンガー・アビーに滞在中のある日のこと、ティルニー将軍はロンドンを訪れます。そこでティルニー将軍はジョン・ソープと再会し、彼からキャサリンの真実を聞かされます。その頃にはジョンはキャサリンに振られているため、キャサリンにすっかり失望したジョンは、「キャサリンの家は実は生活に困窮している」など、今度は実際よりも悪くキャサリンのことをティルニー将軍に伝えたようです。

そのため、ティルニー将軍は激怒し、キャサリンを追い出した、と。

相変わらずジョンは嘘ばっかりですね。

キャサリンがジョンを好きにならなかったのは、容姿とかそういうもの以前にいつも嘘ばかりついてたからだよ!だんだんキャサリンに信用されなくなっていったじゃない!思い出して!反省して!と小一時間くらい説教したくなりました。(聞く耳を持たないんだろうな…。笑)

ティルニー将軍もティルニー将軍ですよね。勝手に勘違いしておいて、勝手に怒って、なんの説明もせずに女性を傷つけて追い出すなんて、理不尽にもほどがある!って感じです。本当にキャサリンは全く悪いことをしてないですし。完全に八つ当たりだこれ!

ティルニー将軍の態度(3):エレノアがお金持ちと結婚したから機嫌を直した

ティルニーお父様はお金大好きですが、ヘンリーは財産など気にしていません。ヘンリーは「お金など関係ないよ(I do not care about money.)(p.62)」と言って、キャサリンにプロポーズします。

でも一方のティルニー将軍は、「キャサリンにはもう会うな」とまで言うくらい怒り心頭中です。このままでは、ヘンリーとキャサリンの結婚が許してもらえるはずもありません。

しかしここで状況が一転します。ヘンリーの妹のエレノアの結婚が決まったのです。エレノアはキャサリンに、幸せなニュースを知らせる手紙を送ります。

I have some good news. I am going to get married in the summer. The young man is very handsome and very rich. My father is very happy.

*日本語訳(拙訳)*
良い知らせがあるのよ。私、この夏に結婚することになったの。相手の男性は、とてもハンサムで、とてもお金持ちなのよ。お父様がとても喜んでくださっているわ。

Jane Austen, Northanger Abbey, Macmillan Education, 2005, p.63.

エレノアが裕福な家の青年と結婚することが決まり、すっかり機嫌を良くしたティルニー将軍は、ヘンリーとキャサリンの結婚も許してしまいます。

ハッピーエンドで良かったのですが、このティルニー将軍の価値観がようやく理解できた時には、

「男も女も金なのか・・・」

と、衝撃を受けたものです(笑)。

まあでも、よくよく考えると、名家の人が結婚相手の家柄を気にするのは自然なことのような気もします。でも、そんな価値観を全く態度に出さずに、キャサリンに全力で優しく振舞っていたティルニー将軍が、恐ろしくもあり、おもしろいと感じました。今後のキャサリンの結婚生活が心配ですけど(笑)。

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好きなシーン:ヘンリーの優しい一面

本音と建て前が見え隠れする中流階級の結婚事情を見てきましたが、そんな裏表の激しい世界ばかり見ていると心が荒んでしまうと思うので(笑)、心温まる大好きなシーンもご紹介しておきます!

実はキャサリン、ホラー小説が大好きです。しかも夢見がちで妄想癖があります(笑)。ティルニー家の実家であるノーサンガー・アビーに招待された時にも、ホラー小説の舞台になりそうな古い邸宅を訪れることができることを喜び、非常に胸をときめかせます。

そしてノーサンガー・アビーに到着した後、キャサリンは、ティルニー将軍との会話の中で、ヘンリーとエレノアの母親、つまりティルニー将軍の妻が9年前に亡くなったことを知ります。そして、ノーサンガー・アビーには「開けてはいけないティルニー将軍の妻の部屋」があることも知ります。このような材料を与えられて、キャサリンはうっかりその妄想癖を発揮してしまい、ヘンリーにそのひどい妄想内容を披露してしまいます。

‘Your mother died very suddenly. She was alone with your father. Your father did not love her. Was your mother — ?’
‘My dear Miss Morland,’ Henry said. ‘What are you saying? I was here. The doctor was here. My father was very unhappy. He loved my mother very much. Miss Morland, you have read too many horror-stories!
Catherine ran back to her room and cried.
‘I have been very foolish,’ she said to herself. ‘I love Henry. But he will never love me now. I will never read a horror-story again.’
But Henry was very kind to Catherine that evening. Soon she was very happy again.

*日本語訳(拙訳)*
「あなたのお母様は本当に突然亡くなられた。彼女はあなたのお父様と二人きりだった。お父様は、お母様を愛していなかった。お母様は、もしかして — ?」
「こら、モーランドお嬢さん」と、ヘンリーは言った。「何の話をしているんだい?僕はここにいたよ。お医者様もここにいた。父さんはとても悲しんだよ。父さんは母さんのことをとても愛していたからね。モーランドお嬢さん、君はホラー小説の読みすぎなんじゃないかな!」
キャサリンは部屋に走って戻り、泣き出した。
「私ったら、なんてバカなのかしら」と、彼女は考えた。「私はヘンリーを愛しているわ。でも、彼はもう絶対に私のことなんて愛してくれないわ。もうホラー小説なんて二度と読まないわ」
しかしその夕方、ヘンリーはキャサリンにとても優しかった。キャサリンはすぐにまた元気になった。

Jane Austen, Northanger Abbey, Macmillan Education, 2005, p.49.

人のお母様をいいように妄想の材料に使ってしまって、「絶対にヘンリーに嫌われた・・・!」と落ち込むキャサリンですが、それを優しく受け止めてキャサリンを安心させてあげるヘンリー。イケメンです!!

ちなみにアビー(Abbey)は、ロンドンの有名な教会に「ウェストミンスター寺院(Westminster Abbey)」があるように、建物としては教会を意味します。そして当時、貴族や大地主が、もともと大修道院だった建物を払い下げられて自らの邸宅とすることがあり、それを「アビー(Abbey)」と呼んでいたそうです。

まとめ:男も女も「お金」が一番大事だった(衝撃)

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この物語を理解するために、原作を本当にちょっとだけ邦訳で読んだのですが、ジェーン・オースティンがこんなにおもしろいなんて知らなかったです。本当にセリフを読んでいくだけで面白くって、そのまま勢いで原作を読破したくなってしまいました。ほどほどにしておきましたけれども。

建前で話しているセリフの裏側に、本音が見え隠れするのが本当におもしろいんですよね(笑)。人の本性が見えておもしろい!読んでいてニヤニヤしてしまいます。何で本を読むかといえば、魂をゆさぶる人間ドラマとか、なまなましい人の欲望に触れたいからですよ。建前だらけの現実社会に飽きてしまっているから。

これがきっとジェーン・オースティンの作品の魅力の一つなのでしょうが、GRにしたことで、本音部分の描写が足りなくて、建前部分しか見えなくなったことで、人々の「本音」が察しづらくなってしまったのが残念でした。

『ノーサンガー・アビー』に関しては、「ストーリーを楽しむため」という意味では、原作を邦訳で読んでしまう方がいいかもしれませんね。

まあでも、あんなに「いつでもウェルカムだよ!」って、言ってくれてたティルニー将軍の手のひら返しは、結構ショックだったな〜^^; 結局、世の中「男も女もお金」ってことなんですね。今日もまた少し、心が強くなりました。

それでは、今日も素敵な一日を!

fummy

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