J. M. バリー『ピーター・パン(Peter Pan)』感想・英語和訳。ネバーランドが怖すぎて震えが止まらない件。(ラダーシリーズ : Level 1)

東京のすみっこより愛をこめて。fummyです😊💡

英語多読100万語を目指して、多読を進めています!

今回取り上げるのは、あの、大人になりたくない症候群の緑の少年です(笑)。「洋書ラダーシリーズ (Level 1)」版の、『ピーターパン(Peter Pan)』!

ディズニー映画でもおなじみの『ピーター・パン』なので、ワクワクしながらラダーシリーズ版を手に取りました。が、もう、感想はこれに尽きます。

ネバーランド、怖すぎ。

こんなん自分も行きたくないし、仮に自分に子供がいたとしたら、絶対に行かせられない! 命がいくつあっても足りないよ・・・! ((( ;゚Д゚)))

というわけで、今回はネバーランドの何がヤバいのかをピックアップし、「本当は怖いネバーランド」をお送りしたいと思います(笑)。

その際、「洋書ラダーシリーズ (Level 1)」版の『ピーター・パン』から本文を引用して日本語訳をつけていきます。ぜひ『ピーター・パン(Peter Pan)』の英語を復習しながら、ネバーランドに隠された罠と暴力に、恐れおののいてください!(笑)

ストーリーのネタバレをしていますのでご注意ください!

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前提情報:『ピーター・パン』について

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本題に入る前に、前提知識として、今回取り上げる本も含めた『ピーター・パン』情報をまとめておきます!

『ピーター・パン』の原作について

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J. M. バリーの写真(画像はWikipediaより)

恐ろしい海賊や、誇り高いインディアンたちがいて、人魚や妖精が当然のように舞い遊ぶ。しかも、そこに行けばずっと子どものままでいられる楽園「ネバーランド」。

この夢の国での少年少女の冒険物語『ピーター・パン』は、イギリスの劇作家・童話作家のジェームス・マシュー・バリー(Sir James Matthew Barrie, 1st Baronet, OM. 1860-1937)によってかかれました。

バリーが発表した『ピーター・パン』に関する著作は、以下の4つ。

『ピーター・パン』シリーズ
  • 小説『小さな白い鳥』(The Little White Bird, 1902)
  • 戯曲『ピーター・パン:大人にならない少年』(初演:1904, 出版:1928)
  • 小説『ケンジントン公園のピーター・パン』(1906)
  • 小説『ピーター・パンとウェンディ』(1911)

20世紀初頭の作品なんですね。

ネバーランドが出てこない『ピーター・パン』もある。

英語版の”Peter Pan”のWikipediaをみると、小説の『小さな白い鳥』、『ケンジントン公園のピーター・パン』は、ピーター・パンが半分鳥のような存在で、ディズニー映画などでよく知られている作品とは、ストーリーも異なるようです。

一番有名なのは戯曲版と、小説版『ピーター・パンとウェンディ』。

一番有名なのが、戯曲版の『ピーター・パン:大人にならない少年』。また、『ピーター・パンとウェンディ』もストーリーは似ていて、これら2つの作品が、今日一番よく知られているピーター・パンのイメージの元となった原作のようです。

ただし、『ピーター・パンとウェンディ』には、ウェンディたちがネバーランドからロンドンに帰った後の後日談まで収録されているのが、戯曲版とは異なっています。

ラダーシリーズの『ピーター・パン』について

今回取り上げる『ピーター・パン(Peter Pan)』は、以下の本です。

本作は、バリー作の『ピーター・パン』を、英語学習者向けに簡単な英語に直したGraded Readers(GR)版であることにご注意ください!

とはいえ、英語版の”Peter Pan”のWikipediaのあらすじを読む限り、ラダーシリーズ 版も、ストーリーは一通り網羅されていたので、ほとんど原作に近いおもしろさを味わえるのではないかと思います^^

ちなみにラダーシリーズ版は、後日談まで入っているので、『ピーター・パンとウェンディ』を元に書かれたのだと思われます。この後日談がとても衝撃の展開(笑)。なので、「本当は怖いネバーランド」とともに、本記事でおまけで紹介しますね!

英語多読者向けの『ピーター・パン』基本情報(総語数、英語レベル)

「ラダーシリーズ 」版の『ピーター・パン(Peter Pan)』の基本情報(難易度など)は、以下の通りです。

『ピーター・パン(Peter Pan)』の基本情報
  • 書名    : Peter Pan
  • シリーズ: ラダーシリーズ (Level 1)
  • 収録作品: Peter Pan
  • 総語数  : 8040語
  • ページ数: 83ページ(巻末の単語リスト除く)
  • 読みやすさレベル(YL):YL2.9

基本情報は、ラダーシリーズの公式ホームページを参考にしています。

このラダーシリーズ(レベル1)は、本によって英語の難易度(文法・語彙)がぜんぜん違います。全体的には、YL2.2〜3.3くらい。『ピーター・パン』はYL2.9なので、ちょっと難しめです。(※YL2.8以上は、英語表現が多様になってくるので、多少の読みづらさを感じると思います)

ちなみに、わたしは英語多読30万語前後くらいのときに、ラダーシリーズ(レベル1)を読み始め、いきなり難しめの本(YL3.0以上)を手に取ってしまって、少し戸惑いました(笑)。でも、10冊くらい読んでいるうちに、慣れて気にならなくなりますよ^^b

ラダーシリーズのYL(読みやすさレベル)については、実はまとまった情報が存在しません(2019年6月時点)。そのため、当ブログでは以下の質問掲示板の情報を参考にしつつ、わたしの体感でYLをつけていますのでご注意ください。
参考:  Re: 洋版のラダーシリーズのYLってどのくらいでしょうか?(英語多読研究会SSSの掲示板「YL・語数・書評システム情報」より)

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『ピーター・パン』のあらすじ

それでは、ひととおり前提情報がそろったところで、

  • 『ピーター・パン』のあらすじ
  • 本当は怖いネバーランド
  • 衝撃の後日談

を、見ていきましょう!!

『ピーター・パン』の簡単なあらすじ

ある晩、ウェンディ・ダーリン(Wendy Darling)の元に、妖精をつれ、緑の服を着た少年が現れました。彼の名前はピーター・パン(Peter Pan)。ピーターは、いつまでも子供のままでいられるネバーランドという国からやってきて、寝る前におとぎ話を話してきかせてくれる、お母さんになってくれる女の子を探していたのでした。

ピーターからネバーランドの話を聞いて興味を持ったウェンディは、2人の弟とともに、ネバーランドへと旅立つことを決意します。ピーターの相棒、ティンカー・ベル(Tinker Bell)の妖精の粉をふりかけて空を飛べるようになった3人は、ピーターに連れられてネバーランドにたどり着きました。

しかし、ネバーランドは危険がいっぱい。ピーターの命を狙う海賊のフック船長(Captain Hook)との戦いや、海賊に捕まったインディアンの娘タイガー・リリー(Tiger Lily)の救出など、危ない冒険が待っていました。ウェンディと2人の弟は、親とはぐれてネバーランドに住む6人の子供たち(Lost boys)と協力し、なんとか危険を乗り越えます。

しかし、ネバーランドでの冒険の最中、いつしかウェンディと弟2人は両親が恋しくなり、ネバーランドを去って、家に帰ることを決意します。

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本当は怖いネバーランド①:ネバーランドへの道中は、眠ったら死ぬ。

ここからは、「本当は怖いネバーランド」をお送りします! 一つ目の罠は、ネバーランドへの道中に、すでに仕込まれていました。

ウェンディと2人の弟たちは、妖精の粉で飛べるようになり、ロンドンからネバーランドに向かうのですが、それは何時間も飛行を続けなければならないほどの長い旅でした。しかも、この飛行というものはなかなか集中力を要するようで、飛んでいる途中で眠ってしまうと落ちてしまうというのです。

The children flew for a long time. But they could not sleep or they would start to fall down. It was very dangerous, so they had to stay awake. (An omission.)

*日本語訳(拙訳)*
子供たちは、長時間飛びましたが、眠ることはできませんでした。なぜなら、眠ってしまうと、からだが落下し始めるのです。あまりにも危険なので、子供たちは、起きたままでいなければなりませんでした。(後略)

ジェームス・マシュー・バリー『ピーター・パン(Peter Pan)』IBCパブリッシング、2010年 p.18。

こういうことは、先に言っといてくれないと!!(切実)

いえ、乗り物の振動が心地よくて、乗るとすぐ寝てしまう人とかいるじゃないですか。(←※わたしです。飛行機は、エンジンがかかったら離陸する前に寝てしまいます。)寝ると落下するなんて知らずに、油断して寝入ってしまって、そのまま手遅れ・・・ということになりかねません。

しかも、大人なら一晩くらい耐えられるかもしれないけれど、子供にとって、真夜中はとにかく眠たい時間です。ウェンディはまだしも、弟2人は脱落してもおかしくないと思います。危険!!

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本当は怖いネバーランド②:ピーター・パンが、頻繁に記憶喪失になる。

これは本当に衝撃だったのですが、ピーター・パンは重度の記憶障害を持っています。出会った人のことを忘れてしまうのです。しかも、何年も会わなかったから・・・とか、そういうレベルではありません。数分会わないうちに、忘れてしまいます。

ウェンディの名前ですら、数分後に忘れる。

これもネバーランドへの道中のお話ですが、ピーターは、なんとあれだけ熱心に一緒に来るよう誘ったウェンディの名前ですら、数分離れると忘れてしまうのです。ちょっとスピードを出して飛んでみんなを追い越し、戻ってきたときにはすでに忘れていたことがありました。

(An omission.) Only Peter knew how to sleep and fly at the same time. He was also much faster at flying than the children. Sometimes he flew far, far ahead of them. When he came back, he didn’t always remember them. Once, Wendy had to tell him her name.
I’m Wendy, don’t you remember?” she said. Peter was very sorry.
“Wendy,” he said, “If you ever see me forgetting you, just keep saying ‘I’m Wendy,’ and then I’ll remember.

*日本語訳(拙訳)*
(前略)ピーターだけは、飛びながら眠ることを同時にやってのける方法を知っていました。さらに、ピーターは子供たちよりもずっと速く飛びました。ときには、子供たちよりもずっとずっと、先の方を飛んでいることもありました。そして戻ってきたときには、時折、子供たちのことを忘れてしまっているのです。ウェンディの名前を教えてやらなければならなかったこともありました。
「わたしはウェンディよ。忘れちゃったの?」と、ウェンディが言うと、ピーターはとても申し訳なさそうにしていました。
「ウェンディ」と、ピーターは言いました。「ぼくがまた君のことを忘れていたら、とにかく『わたしはウェンディよ』って、何度でも言ってくれないか。そうしたら、思い出すから」

ジェームス・マシュー・バリー『ピーター・パン(Peter Pan)』IBCパブリッシング、2010年 pp.18-19。

これは、完全に死活問題です。

だってネバーランドなんて、見も知らない、聞いたこともない、物理の法則すらも怪しい場所で、頼れるのはピーター・パンしかいないんですよ?

それなのに、もしもピーターに忘れられてしまったら、何かあったときに助けてもらえないかもしれないってことですよね? 例えば猛獣とか海賊とかに襲われて、「助けて!ピーター・パン!」という事態に陥ったときに、

「・・・君、誰だっけ?」と、ピーターは、目をしばたたかせました。そして小首を傾げると、そのまま彼方に飛び去ってしまいました・・・。〜 Fin.〜

ということが、あり得るってことですよね? いやああ、これが一番ゾッとしました・・・。

死闘を繰り広げた、フック船長の存在も忘れる。

ピーターはネバーランドの住人で、子供のまま時が止まってしまっています。なので、わたしはこうも考えました。「もしかして、ピーターは、ネバーランドの外で起こったことは、忘れてしまいやすいのかな?」と。

ところが、そんなことは全く関係ないことが物語の最後で発覚します。ピーターは、ネバーランドの中で起こったことすらも、簡単に忘れてしまうのです。

ネバーランドからロンドンの自宅に帰った後、ウェンディは、家に遊びに来たピーターと、ネバーランドでの思い出を語らおうとしました。しかし驚くことに、ウェンディが海賊のフック船長の話題を出しても、ピーターにはピンとこないのです。フック船長は、長らくピーターを目の敵にし、ピーターと何度も刃を交わし、死闘を繰り広げたのにも関わらず、です。

She wanted to talk to Peter about old times. But Peter didn’t remember many things.
“Who is Captain Hook?” he asked. Wendy was shocked.
“Don’t you remember how you killed him and saved all our lives?”
“I forget them after I kill them,” he said.

*日本語訳(拙訳)*
ウェンディは、ピーターと思い出話をしたいと思っていました。しかしピーターは、多くのことを忘れてしまっているのです。
「フック船長って誰のことだい?」と、ピーターは尋ねました。ウェンディは、ショックを受けました
「あなたがフック船長を倒して、わたしたちみんなの命を救ってくれたんじゃない。覚えてないの?」
「倒してしまった奴らのことは、忘れてしまうのさ」と、ピーターは言いました。

ジェームス・マシュー・バリー『ピーター・パン(Peter Pan)』IBCパブリッシング、2010年 pp.75-76。

いやああ、これは、わたしもショックだわ・・・。

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本当は怖いネバーランド③:海賊たちが、本気で殺る気で攻撃してくる。

ネバーランドに到着する前から不安しかないような状況ですが、着いたら着いたで、今度はもっと深刻な危険が、子どもたちを待ち受けていました。

ピーターの話だけきくと、ネバーランドって、妖精と人魚がうたい踊る、美しいファンタジー世界かと思いませんでしたか。

実際に足を踏み入れてみると、「ここは内戦中のソマリアか!?」ってくらい、死屍累々の戦争状態なのです。(子どもたちが砲撃を華麗に避けているのを見て、作中でRPGを3回も避けていたユアン・マクレガーを思い出しました。笑)(※映画『ブラックホーク・ダウン』)

こんなん絶対、外務省が渡航許可ださないんだから・・・。

深刻な危険1:ピーター・パンの宿敵、フック船長。

まずはこのお方。ピーターの宿敵である、海賊のフック船長です。ピーターはフック船長に目の敵にされ、命を狙われているのですが、フック船長は相手が子どもだからといって全く容赦しません。ピーターと、ピーターの仲間の子どもたちの、命を奪う気で攻撃を仕掛けてきます。

All of a sudden, there was a great BOOM! The pirates, who saw Peter and the children flying over the island, fired their long gun at them. The shot sent the children flying in different ways through the air. John and Michael went one way. Peter went another way. Wendy and Tinker Bell went another. No one was hurt, but they went far away from each other.

*日本語訳(拙訳)*
突然、ドーンと豪快な音が轟きました! 海賊たちが、ピーターと子供たちが島の上空を飛んでいるのをみつけて、大砲を放ってきたのです。砲撃によって、子供たちは空中で散り散りになってしまいました。ジョンとマイケルはある方向に飛ばされ、ピーターはそれとは別の方向へ飛ばされました。そしてウェンディとティンカー・ベルは、さらにまた別の方向へと飛ばされていきました。けが人はいませんでしたが、子供たちは、お互いに遠く離れてしまいました。

ジェームス・マシュー・バリー『ピーター・パン(Peter Pan)』IBCパブリッシング、2010年 pp.20-21。

もうね、姿が見えたら、挨拶がわりに砲撃ですよ。

ディズニーアニメだと「味方が死なない安心感」のようなものがあって、砲撃の描写もコミカルに見えるんですけど、こうやって不安要素が積み重なってくると、砲撃もリアルに命の危険を感じます。

実際、死人も出てますしね。というのが、次のお話です。

深刻な危険2:海賊とインディアンたちが常時戦争状態。

さらに恐ろしいのは、ネバーランドでは海賊とインディアンという2つの勢力が常に戦争をしているというところ。普通にけが人も出ますし、普通に死人も出ています。

The children heard the cry of the Indians outside. Then they heard the cry of the pirates. They heard guns and people falling. It was a war! Afraid to go outside, the children listened. Soon all was quiet. But who was won?
…(an omission)…
Outside, dead and hurt Indians lay on the ground. Captain Hook walked around happily. He had won the war! (An omission)

*日本語訳(拙訳)*
外では、インディアンたちが叫んでいました。そして、海賊たちの叫び声が聞こえてきました。銃声と、人がバタバタと倒れる音もしていました。戦争だ! 子どもたちは、恐ろしくて外に出られずに、様子をうかがっていました。まもなく、パッタリと静かになりました。でも、誰が戦争に勝ったのでしょうか?
(中略)
外では、死んだインディアンと傷ついたインディアンたちが、地面に横たわっていました。フック船長は、嬉しそうに歩き回っていました。戦争に勝利したのは、フック船長だったのです!(後略)

ジェームス・マシュー・バリー『ピーター・パン(Peter Pan)』IBCパブリッシング、2010年 pp.44-45。

みましたか。この、日常的に命のやり取りが行われている凄惨な状況。

こんなに壮絶な戦闘が繰り返されていたら、きっと、ウェンディの弟のマイケルのこめかみを、流れ弾がかすったりすることもあるでしょう。そして彼は将来大人になった時に、タバコを吹かしながら、くたびれたような笑みを浮かべて、ネバーランドでの思い出を、こう語るのでしょう。

老マイケル「この傷かい? ああ、ガキの頃だったか、ネバーランドで、ちょっとな。実際危ないところだったよ。インディアンの死体の間で息を殺して、なんとかやり過ごしたものさ・・・

って。

少年にトラウマを植え付ける、恐ろしい夢の国。
それが、ネバーランドの実態だったのです。(※誇大妄想と誇張表現が含まれています)

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本当は怖いネバーランド④:窓を閉めてしまうと、二度と家に帰れなくなる。

そして最後に待ち受けていた恐ろしい罠がこちら。

ウェンディたちは、ネバーランドに向かう際に、ロンドンの自宅の部屋の窓から出発し、飛んでここまでやってきました。ところが、自宅の部屋の窓を閉めてしまうと、家に戻っても家の中に入ることができなくなり、二度と家に帰れなくなってしまうというのです。

以下は、ウェンディがネバーランドの物語を、親からはぐれてネバーランドに住む6人の子どもたち(ロストボーイ, the lost boys)に、話して聞かせてやるシーンです。

“One night, the three children flew away to Neverland. They had a happy, fun time. But how do you think their mother and father felt?”
“Sad!” the lost boys cried.
“That’s right. Mother and father wanted their children back home. They left the window open so the children could fly back in. When the children had enough fun in Neverland, they flew home. But they were all grown up,” Wendy said.
Peter did not like this story.
“When I tried to go home long ago,” Peter said, “my mother had closed the window. I couldn’d fly back in. And there was a new boy in my room. That’s how mothers are.”

*日本語訳(拙訳)*
「ある晩、3人の子どもたちは、ネバーランドに飛んでいきました。そこで3人は、幸せで楽しい時間を過ごしました。でもこの時、子どもたちのお母さまやお父さまは、どんな気持ちだったのかしら?」
「悲しかった!」と、ロストボーイたちは叫びました。
「そうよ。お母さまとお父さまは、子どもたちに、お家に帰ってきてほしいって思っていたの。だから、窓を開けたままにして、子どもたちが飛んで戻ってきたときに、中に入れるようにしていたのよ。ネバーランドをじゅうぶんに楽しんだら、子どもたちは、お家に帰ったの。でも、彼らはみんな、大人になってしまったわ」と、ウェンディは言いました。
ピーターは、この物語が嫌いでした。
「ずいぶん昔に、ぼくが家に帰ろうとしたときには」と、ピーターが言いました。「母さんは、窓を閉めてしまってたんだ。だから、ぼくは中に入ることができなかった。しかも、ぼくの部屋にはもう他の男の子がいた。母親ってそういうものだよ」

ジェームス・マシュー・バリー『ピーター・パン(Peter Pan)』IBCパブリッシング、2010年 pp.41-42。

これは、ネバーランドの取説に書いておくべき。

だってこれ、知らなかったら、何も考えずに窓を閉めてしまいますよ。例えば季節が冬だったら、普通に窓を閉めちゃいますよね。窓を閉めたら子どもが帰ってこないって知っていたら、親は絶対に窓を閉めません!これは、絶対に罠!!

でも、ウェンディがこの物語を知っていたということは、おそらく母親のダーリン夫人から、話して聞かされていたのでしょう。そして、ウェンディたちの母親であるダーリン夫人は、しっかりと子どもたちの部屋の窓を開け放したままにしていたのです。

この事実から、予測できることがあります。おそらく、ダーリン夫人もネバーランドに行ったことがあるということです。

というのが実は、次の話題です。

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衝撃の後日談:ネバーランドの歴史は、繰り返される。

ネバーランドで過ごしていた子どもたちは、物語の最後には、ピーターを残してネバーランドを去り、ロンドンに無事に戻ります。

ここからは、その後日談。

家に帰ったウェンディでしたが、ピーター・パンと永遠にお別れしたわけではありませんでした。ピーターと取り決めをし、毎年「春の大掃除」の時期だけ、ウェンディはピーターと一緒に、ネバーランドで過ごすことになったのです。

次のピーター・パンのお母さん役は、娘のジェーン。

しかし、いつまでも子どもの姿のままのピーターに対して、ウェンディはどんどん大人になり、結婚してジェーン(Jane)という娘ができました。

ある春の大掃除の時期、ピーターが迎えにくると、ウェンディは「もう大人になってしまったから、一緒には行けない」と、ピーターに告げました。

ピーターが泣き出すと、ウェンディの娘のジェーンがそれに気づいて、ピーターに話しかけます。ジェーンは母のウェンディからネバーランドの物語を聞いて、ピーターをずっと待っていました。

When Wendy returned, she found Peter sitting on the bed, happy. Jane was flying around the room.
“Peter needs a mother,” Jane said to Wendy.

“Yes, I know,” Wendy said.
“Good-bye,” said Peter to Wendy. He rose in the air. Jane rose with him. They flew to the window.
“No, no!” Wendy cried.
“It’s just for spring-cleaning time,” Jane said. “Peter wants me to do his cleaning for him.”

*日本語訳(拙訳)*
ウェンディが戻ると、ピーターが嬉しそうにベッドに座っているではありませんか。そしてジェーンは、部屋を飛び回っていました。
「ピーターは、お母さんがほしいのよ」と、ジェーンはウェンディに言いました。

「ええ、わかってるわ」と、ウェンディは言いました。
「さよなら」と、ピーターはウェンディに言い、宙に浮きました。ジェーンも一緒です。2人は窓の方へと飛んでいきました。
「だめ!だめよ!」と、ウェンディは叫びました。
「春の大掃除の間だけよ」と、ジェーンは言いました。「ピーターが、自分のところを掃除してほしいんですって」

ジェームス・マシュー・バリー『ピーター・パン(Peter Pan)』IBCパブリッシング、2010年 pp.81-82。

ウェンディが大人になったら、今度は娘のジェーンがピーターのお母さん役になる番だとは・・・。

今後の展開が、なんとなく予測できますよね。そうです。この「ピーターのお母さん役」は、代々受け継がれていくのです。

ネバーランドの歴史は、繰り返される。

『ピーター・パン』では、なんとジェーンの後日談まで語られています。

ジェーンもいつしか大人になり、マーガレットという娘を持ちました。今度はマーガレットが、ピーターのお母さん役になりました。お察しの通り、こうして、ピーターのお母さん役は、娘たちに代々受け継がれていくのです。

That was a long time ago. Now Jane is a grown-up. She has a daughter called Margaret. Every spring-cleaning time, except when he forgets, Peter comes for Margaret. They go together to Neverland. When Margaret grows up she will have a daughter. Then it will be her turn to be Peter’s mother. This will go on always, so long as children know how to fly.

*日本語訳(拙訳)*
これは、ずいぶんと昔のお話です。ジェーンも、今では大人。マーガレットという娘がいます。毎年春の大掃除の時期に、忘れていなければ、ピーターがマーガレットに会いにやってきます。2人はネバーランドに行くのです。マーガレットが大人になったら、娘ができるでしょう。そうしたら、今後はその娘がピーターのお母さんになる番なのです。これはいつまでも続きます。子どもたちが空の飛び方を覚えているかぎり。

ジェームス・マシュー・バリー『ピーター・パン(Peter Pan)』IBCパブリッシング、2010年 p.82。

この「ネバーランドシステム」を初めて知って、とても衝撃を受けました。魔法のような、呪いのような、嬉しいような、怖いような・・・複雑な気持ちです(笑)。

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まとめ:ネバーランドの取説の作成を要求する!

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ネバーランドがいかに怖いところか、伝わったでしょうか(笑)。最後なので、ネバーランドのヤバい点をまとめておきますね。

本当は怖いネバーランド
  1. ネバーランドへの道中は、眠ったら死ぬ。
  2. ピーター・パンが、頻繁に記憶喪失になる。
  3. 海賊たちが、本気で殺る気で攻撃してくる。
  4. 窓を閉めてしまうと、二度と家に帰れなくなる。

ネバーランドに訪れる子ども本人や、保護者の気持ちを察して、わたしからは「ネバーランドの取説」の作成を切実に要請したいです。そして少なくとも、上記4点のネバーランドの罠について明記しておいてもらいたい!

その上で、

「あなたは本当にネバーランドに行きますか?」
「はい/いいえ」

で、選ばせてほしい・・・。

ちなみに、何が一番怖いって、ピーターが簡単に記憶喪失になるっていうところです。

これまでにネバーランドで命を落とした子ども、絶対にいますよね?

それで、ピーターは、都合よくそれを忘れちゃうんですよね?

怖いよ!ピーター・パン!! ((( ;゚Д゚)))
怖いよ!ネバーランド!! ((( ;゚Д゚)))

それでは、今日も素敵な一日を!(逃)

fummy

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