『イソップ物語(Aesop’s Fables)』感想・英語和訳。時をかける古代ギリシャの寓話!(Compass Classic Readers: Level 1)

東京のすみっこより愛をこめて。fummyです😊💡
英語多読100万語を目指して、多読を進めています!

今回取り上げるのは、「Compass Classic Readers (Level 1)」版の、『イソップ物語(Aesop’s Fables)』です。

『イソップ物語』といえば、

アリとキリギリス
北風と太陽
ウサギとカメ
王様の耳はロバの耳
金の斧と銀の斧
・・・

などなど、有名どころだけでも挙げだすとキリがないくらい大量のエピソードがあります。一覧にし始めると、たぶんラインナップだけでこの記事が終わってしまうので割愛します(笑)。

今回は、そんな馴染みの深い『イソップ物語(Aesop’s Fables)』について、いくつかのエピソードのあらすじ教訓を、本文を引用して日本語訳をつけながら紹介していきます!

特に、

  • 動物に関する英語表現の使い分け

に注目してエピソードをピックアップしていきますので、『イソップ物語』を懐かしみながら、こういう時はこの単語を使うのか〜など、記憶の定着に役立てていただければと思います^^

当然のことながら、各エピソードのネタバレをしていますのでご注意ください!

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前提情報:『イソップ物語(Aesop’s Fables)』について

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今回取り上げる『イソップ物語(Aesop’s Fables)』は、以下の本です。

原書ではなく、Graded Readers(GR)版であることにご注意ください!

まあ、そもそもの原作が、どのエピソードも1〜2ページ程度の超短編なので、これ以上は端折りようもなく(笑)、安心して読めますね。

『イソップ物語(Aesop’s Fables)』の基本情報:古代ギリシャの寓話!

子どもが避けては通れない三大童話集!(※いま勝手に命名。笑)

そのひとつが、『イソップ物語』です。

『イソップ物語』ってどんな本?

『イソップ物語』の実態は、1〜2ページ程度の大量の短編から成り立つ物語集です。岩波文庫版には、実に471編ものエピソードが収録されています。

それぞれのエピソードは、短いのにどれも印象深く、

  • 「アリとキリギリス」のような、動物を擬人化して人生の教訓を説いた寓話が多い。
  • とにかく時代も場所も感じさせない普遍的なストーリー

といった特徴があります。

なので多くの人が、小さい頃に読んだっきりで、『イソップ物語』が、そもそもどの時代のどの国の物語なのかなんて、あまり深く考える機会がないんじゃないでしょうか。

イソップって、どこの誰なの?

何を隠そう、わたし自身、たまたまこの本を手に取るまで、「イソップはグリムやアンデルセンと同じ童話作家なんだ」と信じこみ、つゆほどにも疑っていませんでした。(阿刀田さんの解説シリーズが好きなので、何も考えずに手に取りました。笑)

『イソップ物語』って、2600年前(紀元前6世紀)
ギリシャでつくられた物語なんですよね。

しかも作者のアイソーポス(イソップ)奴隷です。

この事実を初めて知った時は震えました。

2600年前のギリシャ人のひとりの奴隷がつくった物語が、いまや全世界にその名をとどろかせ、全世界の子どもたちに親しまれているだなんて…!

ちなみにわたしの中で、「子どもが避けては通れない三大童話集(笑)」は、イソップ、グリム、アンデルセンです。

英語多読者向けの『イソップ物語』基本情報(総語数、英語レベル)

「Compass Classic Readers」版の『イソップ物語(Aesop’s Fables)』の基本情報(難易度など)は以下の通りです。

『イソップ物語(Aesop's Fables)』の基本情報
  • 書名    : Aesop’s Fables
  • シリーズ: Compass Classic Readers(Level 1)
  • 収録作品: Wolf and the Lamb(オオカミと子羊) / The Father, His Sons, and the Sticks / The Wolf and the Bird / The Lion and the Mouse / The Ants and the Grasshopper(アリとキリギリス) / The Dog and His Reflection / The Hare and the Tortoise(ウサギとカメ) / The Tortoise and the Eagle / The Bear and the Two Travelers / The Miser / The Ass and the Pet Dog / The Lion in Love(恋に落ちたライオン) / The Wolf in Sheep’s Clothing / The Salt Merchant and the Ass / The Boy Who Cried Wolf / The Father and His Two Daughters(全16話)
  • 総語数  : 2486語
  • CEFR    : A1
  • 読みやすさレベル(YL):YL2.6-2.8

あとで個別に取り上げるエピソードを太字にしています。

難易度のご参考までに、わたしは英語多読20万語〜30万語の間くらいのレベルでこのシリーズ(CCR レベル1)を読んでいますが、特につまづくことなくスムーズに読めています!

基本情報にあげた語数などの情報は、本シリーズのカタログを参考にしています。
Compass Publishing Readers Catalog 2018

それでは、エピソードごとに個別に見ていきましょう!

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イソップ物語:オオカミと子羊(Wolf and the Lamb)

「オオカミと子羊(Wolf and the Lamb)」の動物英単語

学べる動物英単語
  • lamb : 子羊

「羊」といえば”sheep”ですが、“lamb”は「子羊」です。
「ラム肉」があるので、覚えやすいですね。

「オオカミと子羊(Wolf and the Lamb)」のあらすじと教訓

ある日のこと、子羊を見つけたオオカミは、子羊を食べたいと思いました。そこでオオカミは、子羊の命を奪う行為を正当化するために、子羊に言いがかりをつけます。

He went up to the lamb and said, “Last year, you were rude to me.”
“I could not have been rude to you last year,” the lamb replied. “I am only a week year old.”

*日本語訳(拙訳)*
オオカミは子羊に近づいて言いました。「去年はずいぶん失礼な態度をとってくれたじゃないか」
「去年、僕があなたに失礼なことをしたはずがありません」と、子羊は答えました。「だって僕、一週間前に生まれたばかりだもの」

Aesop, Aesop’s Fables, Compass Publishing, 2009, p.5.

という調子で、オオカミは子羊にあらゆる言いがかりをつけるのですが、子羊の正論に、ことごとく論破されてしまいます(笑)。

しまいにはもはや面倒になってしまって、オオカミはこう言います。

“I’m not going to argue with you,” the wolf said. And he killed the lamb and ate him.

*日本語訳(拙訳)*
「もうお前とは話してられないぜ」と、オオカミは言いました。そして、子羊を殺して食べてしまいました。

Aesop, Aesop’s Fables, Compass Publishing, 2009, p.5.

雑 す ぎ る ! !
結局、理由なんていらなかったんです。

オオカミと子羊(Wolf and the Lamb)の教訓
  • 悪人(身勝手な強者)には、どんな正論を並べたところで無駄である。

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イソップ物語:アリとキリギリス(The Ants and the Grasshopper)

「アリとキリギリス(The Ants and the Grasshopper)」の動物英単語

学べる動物英単語
  • grasshopper : キリギリス

”grasshopper”は、ふつう「バッタ」と訳しますが、『イソップ物語』では「キリギリス」と呼ぶのがお馴染みです。

それにしても、「キリギリス」っていう言葉の響きが、趣があっていいですよね。 「アリとバッタ」よりも、絶対「アリとキリギリス」派です!

とはいえ、今まで日本で生きてきて「キリギリス」という昆虫に実際に出会った覚えが全くありません。調べてみると、「キリギリス」はバッタの一種で、日本にちゃんと生息しているようです。もしかしたら、ぜんぶ「バッタ」で片付けてしまっているのかもしれませんね。

「アリとキリギリス(The Ants and the Grasshopper)」のあらすじと教訓

あるところに、アリたちと、一匹のキリギリスがいました。アリたちが夏の間せっせと働いて、食べ物を蓄えている間、キリギリスは、歌って踊って怠惰の限りを尽くしていました。

ところが冬になると、キリギリスは食べるものがなくて途方にくれ、飢えてアリに助けを求めます。アリたちは、あんなに食べ物が豊富だった夏に、キリギリスがなぜ食べ物を蓄えておかなかったのか指摘します。

The grasshopper replied, “I’ didn’t have time. I was busy singing.”
The ants all laughed at him and said, “If you were foolish enough to sing all summer, then you must go to bed hungry in the winter.”

*日本語訳(拙訳)*
キリギリスは言いました。「そんな暇なかったんだよ。歌うのに忙しくてさ」
アリたちは笑って言いました。「君が愚かで、夏じゅう歌ってばかりいたんなら、そりゃあ冬にひもじい夜を過ごすのも、仕方がないことさ」

Aesop, Aesop’s Fables, Compass Publishing, 2009, p.14.

アリとキリギリス(The Ants and the Grasshopper)の教訓
  • 働かざるもの、食うべからず!
  • 備えあれば、憂いなし。

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イソップ物語:ウサギとカメ(The Hare and the Tortoise)

「ウサギとカメ(The Hare and the Tortoise)」の動物英単語

学べる動物英単語
  • hare : ノウサギ  ([参考] rabbit:穴ウサギ、飼いウサギ)
  • tortoise : 陸生のカメ  ([参考] turtle:水生のカメ)

“hare”はノウサギです。日本でみる一般的な、小さくてフワフワしたウサギは”rabbit”。”hare”は日本では見ないようですね。耳が長くて、足が強く、rabbitよりも速く走れるようです。

カメについては、日本でよく見るのが池や海で泳いでいるカメなので、「タートル(turtle)」の呼び名の方が親しみがあると思います。

しかし、陸生のカメを表す”tortoise”は、多読をしているとよく出てきます。

実際、Oxford Owlでも3作品くらいに出てきましたし、『Harry Potter and the Philosopher’s Stone(ハリー・ポッターと賢者の石)』でも出てきます。さりげなく、ダドリーがペットで飼ってるんですよね。(※どちらもイギリス英語です)

「ウサギとカメ(The Hare and the Tortoise)」のあらすじと教訓

あるところにウサギとカメがいました。
ウサギは足が速いのが自慢で、のろまなカメをバカにして笑います。

The tortoise, who did not like being laughed at because he was slow, said to the hare, “Although you can run faster than I, I will beat you in a race.”
The hare, thinking that the tortoise could not do this, said, “Very well, I will race you.”

*日本語訳(拙訳)*
カメはいくらのろまだからと言って、笑われるのはおもしろくありませんでした。そこでウサギに言いました。「君は僕よりも足が速いかもしれないけど、競走したら僕が勝つよ」
ウサギは、カメにそんなことができるはずがないと思って言いました。「言うじゃないか、競走してやるよ」

Aesop, Aesop’s Fables, Compass Publishing, 2009, p.16.

競走がスタートすると、ウサギは一気にカメを引き離してしまいます。カメの姿が見えなくなり、油断したウサギは、ゴールまではまだ距離がありましたが、木陰で居眠りを始めてしまいました。

どのくらい時間が経ったでしょうか。ウサギが目を覚ますと、カメはすでにゴール直前でした。ウサギは慌てて走り出しましたが、ウサギが追いつく前に、カメはゴールしてしまったのでした。

ウサギとカメ(The Hare and the Tortoise)の教訓
  • 慢心は、最大の敵である。
  • 他人を気にせずコツコツ努力すれば、目標に到達できる

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イソップ物語:恋に落ちたライオン(The Lion in Love)

「恋に落ちたライオン(The Lion in Love)」の動物英単語

学べる動物英単語
  • lion : ライオン

『イソップ物語』って、意外とライオンがちょくちょく登場しますよね。「19世紀のヨーロッパにライオンなんていたっけ? それとも作者がライオンファン?」って、ずっと不思議だったんですよね(グリムやアンデルセンと同時代だと思ってたので^^;)。

でも、『イソップ物語』が紀元前6世紀のギリシャで成立したと聞いたときに納得しました。壁画などのエビデンスも残されているのですが、少なくとも5000年前くらいまでは、ヨーロッパにもライオンが生息していたそうです。紀元前6世紀の頃はわかりませんが、伝承とかはありそうですよね。

「恋に落ちたライオン(The Lion in Love)」のあらすじと教訓

あるところに、ライオンがいました。ライオンは、木こり(woodcutter)の娘に恋をして、結婚したいと考えました。ライオンが娘に結婚を申し込みに行くと、恐ろしいライオンを前にして、木こりも娘もひどくおびえてしまいました。

After a lot of thought, he said to the lion, “I will be pleased for you to marry my daughter, but she is very afraid of your teeth and claws. If you will let me take them all out, you can marry her. I am sure my daughter will then make you a good wife.”

*日本語訳(拙訳)*
よくよく考えた後、木こりはライオンに言いました。「娘があなたと結婚するのは、私としても嬉しいのですが、娘はあなたのキバとツメをとても怖がっているのです。それらをすべてとってしまってもよろしければ、娘はあなたと結婚できます。娘は、必ず良い妻になりますよ。

Aesop, Aesop’s Fables, Compass Publishing, 2009, p.26.

ライオンは娘をとても愛していたのでこの申し出を受け入れ、木こりにキバとツメをとってもらいました。キバとツメさえなければライオンなんて怖くありません。木こりはライオンを棒で殴って追い立てました。ライオンはやっとの思いで逃げおおせましたが、キバとツメがないので獲物を狩ることができません。ライオンはそのまま飢えて死んでしまいました。

(人間が人でなしなパターン…!^^;)

恋に落ちたライオン(The Lion in Love)の教訓
  • 恋は盲目!
  • 目先の利益のために、自分の最大の切り札を差し出してはならない。

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『イソップ物語(Aesop’s Fables)』で覚えた英語表現!

動物関連の単語はご紹介してきましたが、『イソップ物語』には人間だけ登場するエピソードもあるので、動物以外で今回覚えた英単語をご紹介しておきますね。

『イソップ物語』で覚えた英語表現
  1. quarrel
    “If you all work together and do not quarrel,” the father said, “you will be strong. If each of you go your own way, you will be weak.” (p.8)(「もしもお前たちが三人一緒に力を合わせ、喧嘩などしないなら」と、父親は言いました。「お前たちは強いだろう。もしもそれぞれが我が道を行ってしまうのなら、お前たちはか弱いのだ」)
  2. miser
    A miser sold everything he owned and bought some gold with the money he got. (p.22) (あるケチな男が、持ち物をすべて売り払い、得たお金で金を買いました。)
  3. shepherd-boy
    A shepherd-boy looked after the sheep belonging to the people of the village. One day, he cried, “Wolf! Wolf!” (p.32) (羊飼いの少年は、村びとたちの羊の世話をしていました。ある日、少年が叫びました。「オオカミだ!オオカミが出たぞ!」)

復習にどうぞ!

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まとめ:古代ギリシャのイソップが教えてくれた普遍的教訓

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久しぶりに読んだ『イソップ物語』は、意外とえげつなかったです(笑)。

それは置いておくとして、実は、ここまで散々イソップについて盛り上がってまいりましたが、イソップという人がそもそも実在したのかどうか、実証できていないそうなんですよね。

とはいえ、「2600年前の物語が、今日の世の中で、世界中の人の心を動かしている」と考えると、過去にタイムスリップして古代の人と対話したような気持ちに浸れるので、イソップは絶対実在したと信じたいな、と個人的には思っております。

それでは、今日も素敵な一日を!

fummy

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